楽天モバイルは失敗しそう…
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが先月楽天よりモバイル事業における料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」が発表されました。
https://japanese.engadget.com/jp-2020-03-03-2980-300-1.html
内容をサマる(要約する)と下記のようになります。
・月額2980円でデータ通信/通話し放題※1,2
・1年目は先着300万人まで無料
※1 データ通信無制限エリアは楽天エリアのみ。auローミングエリアは2GB/月まで。超過した場合は1GB500円。
※2 通話料無料はRakuten Linkアプリを使用した場合のみ。使わない場合は従量課金。
出典:マイナビニュースより月額2,980円は本当におトク? 楽天モバイル「Rakuten UN-LIMIT」の注意点 | マイナビニュース
ここまで出ている情報からなぜ楽天モバイルが失敗すると考えたのか解説します。
要員① サービスエリアの狭さ
サービス開始して間もないのだからエリアが狭いのは当然だろ!という声はあるかもしれない。しかしそういった短期的な話ではなく長期的に見てもエリアの狭さは解消されそうにない。下記をご覧頂きたい。
そもそもサービスエリアというのは携帯が基地局と通信できる範囲のことを指す。当然基地局と携帯が通信できなければインターネットもできないし電話もできない。そのため通信インフラを展開する通信キャリア(docomo, au, Softbank)にとってエリアの広さは最重要要素と言える。
その点を踏まえて画像を見ると楽天の基地局建設計画が2022年度に3万局越えすることが分かる。一方2018年時点での大手通信キャリアの局数は以下のようになる(4Gのみ)
正確には併設局も含むので局数イコール設置箇所ではないが、それでもここまでの局数を建ててようやく全国どこでも使えるというレベルになる。
2022年になっても楽天のエリアは3大キャリアには遠く及ばない可能性が高い。(プラチナバンドも持ってないし…)
要員② ユーザーの流動性の低さ
キャリアの決算にて発表される解約率の低さからお分かりになる通り、日本の携帯ユーザーの解約率は極めて低いと言える。(平均1%未満)
そのような状況下でかつてiPhoneを武器に多数のユーザーを獲得したソフトバンクのように成功を収めることができるのだろうか。
ここに4/3にMMD研究所が調査した「MNO楽天モバイルの発表プランに関する意識調査」の結果をご覧頂こう。
出典:IT mediaより楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT」は魅力的? MMDが調査 - ITmedia Mobile
3大キャリアユーザーでは7割が、格安SIMユーザーでも7割超が積極的に乗り換えを検討していないことが分かる。
積極的に乗り換えを検討しているユーザーに限っては1割にも満たない。キャリアユーザーに比べて流動性の高い格安ユーザーにアプローチできないのでは苦戦を強いられるのは目に見えている。
要員③ 料金の安さ
料金が安いことは価格競争力を有するしメリットである反面、安すぎて今後設備投資や設備維持費に使えるお金が限られてしまいます。
通信事業にかかる費用として基地局を建設する際に発生する設備投資費に加え、人件費や設備を維持する設備維持費も発生します。特に見落とされがちですが、基地局は建設した後も場所代や光熱費を土地の所用者などに支払わなければなりません。これは基地局を置く場所が増えるほど増加していきます。
そのため楽天は今後は少ない資金で設備投資と設備維持をしなくてはいけません。楽天もいずれやらかしそうですが、過去に3大キャリアも設備投資をケチったために重大障害を起こしています。料金を安くする事はもちろん重要ですが、それ以上にいつでも通信できることが重要だと考えます。
さいごに
ここまで色々と楽天の文句を並べてきましたが、楽天が通信事業に参入することはユーザーや3大キャリアにとっても良いことだと思っています。ユーザーからすれば価格競争が起きることで通信料が安くなる可能性が高く、3大キャリアからすれば否が応でも効率的な事業運営が求められるのでより洗練されたサービス/組織作りが促進されるでしょう。楽天が携帯事業で成功する兆しは今のところ見えませんが、楽天の参入により引き起こされる変革には今後要注目していきたいですね