各社の5G戦略を振り返る
3月末に大手通信キャリア(以下MNO)が5Gサービスを商用開始し、既に日本で5Gが使える環境になった。MVNOには現状未対応だが、今年中には対応されるだろう。今回はMNO各社における5G戦略について振り返ってみる。
各社の5G料金プランについて
3社ともに8000円前後で料金を設定したようだ。細かいので省略したが、実際には固定通信とのセット割や家族割により各社4000円弱から使えます。(最安はauの3460円)
各社ともに条件付きであれど無制限プランを打ち出してるのが特徴ですね!Softbankは微妙だが…
この料金を高いと見るかどうかは意見が分かれそうですが、1ギガあたりの料金を考えるとそこまで高くないかなというのが個人的な意見です。(一昔前は7GBで5000円以上取っていたことを考えると…)
ちなみに各社4Gの料金プランに+500〜1000円してますがこのやり方は海外キャリアの料金プランを参考にしたのだと思います。アメリカのMNOであるVerizonは4Gのプランに+10ドル(約1000円)で5Gを使えるプランを打ち出してました。料金も大体8000円前後。
今後ユーザーが増えたり、楽天の攻勢次第ではもう少し安くなることも期待できるかもしれませんね。料金の話はこのくらいにして各社の戦略を見ていきます。
NTT docomo 5G
ご存知最大の契約者数をもつ日本最大のMNOです。累計契約者数は現時点で約7800万。
ドコモは昔から膨大な設備投資で基地局を全国展開しエリアをカバーする王道の戦略をとってきました。どうやらそれは5Gでも変わらなそうです。2022年度までに2万局の基地局を整備し、全国47都道府県のどこかしらで5Gが使える環境になる見通しです。個人的には5Gスマホを買うのはここくらいからが良いのかなと思います。現時点ではほぼ4Gしかエリアない状態なので…
他企業との連携について
5Gは法人向けソリューションが大きく伸びると思っているが、中でもドコモは規模が大きいのが特徴
法人パートナーを2022年までに5000社に増やし、実証実験で得られたソリューションを各社に提供していくようだ。要するにソリューションという名のパッケージ商品を売っていくのがドコモのソリューション戦略だ。
KDDI au 5G
どこかで既視感のあるフォント…
auはKDDIが手がける携帯サービスブランドである。累計契約者数は約5600万。ドコモとは打って代わりに設備投資を極力抑えつつ、エリアカバーおよび体感品質を上げる試みをしているのが特徴である。具体的には基地局のパラメータやチルトをいじり倒すことで品質改善に取り組んでいる。5Gの開設計画としてはドコモと同じく2022年度までに2万局だが、auの場合はDSSによる基地局数も含まれる。DSSというのは4Gに割り当てられた周波数を5Gでも使えるようにする技術で、これにより5G対応エリアを一気に拡大できるというメリットがある。
ただしデメリットとしては割り当てられた帯域を4Gと5Gで共用しているだけなのでスループット向上は見込めない。
他企業との連携について
出典:eliconよりhttps://eiicon.net/articles/1477
auについてはドコモのようにソリューションをパッケージとして販売するのではなく、パートナーに合わせたソリューションを共に開発していく毛色が強い。具体的には渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトだ。街全体を5Gで盛り上げるというのはau特有のソリューションである。エンターテイメントについては他社より力を入れていることが感じられる。
Softbank 5G
最後にSoftbank(以下SB)だが、ファンの方には申し訳ないが正直3社の中で1番面白くなかった。特に料金に驚きがない。他社がこぞって無制限プランを打ち出す中未だに50GBが上限である(制限超過後も128kbpsだし)
無制限打ち出せない理由として5Gの開設計画の少なさも無関係ではないだろう。この点については別の記事にしたいが、実はSBの5G基地局開設予定数はMNOの中で1番少ない(楽天以下)
これはauのところで書いたようにDSSを使って5Gのエリアを確保するからだと思われる。
ただ上に書いたようにDSSだけでは4Gの周波数を使ってるだけなので大容量通信はできない。この理由があるため、SBの5Gは他社ほど速度が出ないのではないかと思う。エリア展開が進むたびにこの差は顕著になると思われる。
こうなった背景としては楽天対策もあったのではないかと思う。設備投資を抑えればその分料金値下げの余地が出るからだ。
ユーザー目線から見れば現状あまり魅力のない料金プランだったと言える。
他企業との連携について
他社同様ライブでのXR体験を行ったり、自動運転、自動建機を行う他にSB独自の施策として5G LABなるプラットフォームを提供するようだ。
出典:iot news
発表会ではAKBのメンバーがXRを実際に体験する場面も見られたが、特段新規性はなかった。
今後このプラットフォームにどれほどのコンテンツが充実していくか見ものである。
さいごに
以上が3社の5G発表会のサマリでした。
4Gの普及はiPhoneをはじめスマートフォンの登場が大きく影響していたが、5Gではどうだろうか?
まだ普及のきっかけとなるものが存在していないように見える。しばらくは法人向けに高速大容量・低遅延を売りにしたソリューションが展開されていくのではないかと思う。一般普及はまだ先になりそうだ